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構音(発音)の訓練

「言語聴覚士って、どんな仕事しているんですか?」と職業について話をすると必ずと言っていいほど聞かれます。だから言語聴覚士の仕事について知ってもらうためにもブログでも少しずつ仕事の内容などを書いてみようかと考えています。ただし、言語聴覚士の仕事というのはとても幅が広いため、あくまでも私の場合ということで読んで下さい。

言語聴覚士の仕事の中に「構音訓練」というものがあります。構音とは医学的な専門用語で、一般的に言われる発音のこと。ではなぜ発音と言わないかと聞かれると私もよく分からないのですが、口腔の操作についてより意識したものを指すため、という話を以前聞いたことがあります。

構音訓練を行う場合、成人は主に脳血管障害(脳梗塞、脳出血など)による麻痺によるもの(運動性構音障害)や交通事故などによる頭部外傷や顔面骨折、ガンの手術による後遺症が(器質性構音障害)といったケースが主です。たまに小児の場合に述べる機能性構音障害のケースもあるらしいのですが、私自身は訓練対象としてお会いしたことはありません(テレビや街などで「あれ?」と思う方はいらっしゃるのですが…)。

一方小児の場合は口唇口蓋裂(唇や上顎が生まれつき裂けている)などの器質構音障害や脳性麻痺などによる運動障害性構音障害というケースもありますが、多いのは機能性構音障害です。これは医学的には問題がないのに、幼少の頃より発現する発音異常、発音障害です。原因はよく分かりませんが、正しい音を出そうと本人が無意識のうちに試行錯誤しているうちに誤学習してしまうケースが多いようです。特定の音だけ出ることがほとんどで、たいていの場合は「かわいらしい話し方ね」「ちょっと舌足らず」と言われることがあっても見過ごされていることが多いと思います。

自然治癒するケースがほとんどなのですが、就学1年前になっても構音が不明瞭な場合は訓練の対象になります。お子さんについて気になる場合、一度保健センターやことばの教室などで相談されることをお勧めします。5歳未満だと訓練する場所が口の中、という見えない場所だけに難しいし、集中力を要するため飽きてしまうことが多いからです。またこの位の年齢になると文字も用いた指導も可能になり、本人も「自分がうまく言えていない」ということが分かってくるため訓練に対してモチベーションがつけやすいということもあります。

私の場合、4歳以下で相談があった場合は評価をして他の発達面の問題がないか確認し、状況に応じて食事指導をしたり(しっかり噛む、丸呑みさせない等)、シャボン玉や笛など、口腔を用いた遊びを行うようアドバイスします。また訓練の準備として数ヶ月に一度会う、といった対応をすることもあります。口腔の運動というのは数ミリ単位の協調運動であるため、身体を動かすことが苦手な子どもの場合は日常生活でしっかり身体を動かす(特にバランスを要する運動)、身辺自立の課題(食事、更衣、排泄など)を丁寧に行うといった指導を行うこともあります。

機能性構音障害の場合、専門家による指導を受ければ小学校高学年までなら完治すると言われています。期間も機能性構音障害だけのケースだと大体半年~1年前後でかなり改善してきます。成人でも指導を受ければ完治するケースも多いそうですが、中には日常会話まで般化しないこともあるようです。構音というのは一種の運動ですからやはり他の運動と同様、小さいうちから行う方がスムーズに行くものなのでしょうね。

ただしここで注意を要するのが機能性構音障害に発達障害を伴っているケースです。注意欠陥多動性障害(ADHD)や学習障害(LD)がある場合、構音の訓練に対して集中することが困難だったり、文字から音をイメージすることが困難なことがあります(これは音韻の障害もあるため、他の評価も必要になります)。また協調運動に障害があるケースも多いため、適切な位置に舌や口腔を動かせないことがよく見られます。以前小児の構音を主にしていた言語聴覚士と話をしていた時「どうもなかなかよくならないなぁ、と思っていたケースって今考えると発達障害だったかも」という話題になったことがありました。また、吃音(いわゆるどもり)を伴っている場合も吃症状の状態を見ながら訓練を進めていきます。

これを読んで「あれ?かすれ声とか声帯の問題は訓練の対象じゃないの?」と思われた方もいるでしょうが、実は専門的にはこちらは「音声障害」という別なジャンルなのです(もちろん重なっているケースもありますが)。こちらの方はまた別な機会に書くことにします。

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コメント

次女の就学一年前・・あと半年です。
「先生」が言えずに「ちぇんちぇーい」と読んでいます。
「可愛いわねぇ~」と言っていただけるのですが気になって仕方ありません。。
平仮名が読めるようになったので、文字に書いて正すよう促しています。
春になっても正しく言えなかったら、、相談してみます。
とても参考になりました。
ありがとうございますm(__)m

投稿 くれよん | 2006年9月10日 (日) 01時30分

コメントをありがとうございます。今の段階で相談してもいいと思いますが、娘さんが訓練に対してどの位適応できるかということも関係してくるでしょう。

本文にも書きましたが、訓練を始める準備として私は運動や身辺自立、そして口を使った遊び(シャボン玉や笛を吹くような遊び)を指導しています。

音の認識(音韻と専門用語では言います)についても一度専門家に確認してもらい、音と文字が一致するようなことも時には有効です。検討してみてください。

投稿 秋桜 | 2006年9月10日 (日) 22時24分

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