フィンランド特別支援教育視察(その3)

フィンランド特別支援教育視察(その3)
いよいよ22日から特別支援教育視察スタートです。午前中は3グループに分かれてユバスキュラ市内の小学校へ出かけました。

私が選んだのは地域の公立小学校。ユバスキュラ大学の先生の奥様が副校長をされている学校だそうです。学校へ到着すると外には大勢の子供達が遊んでいました。9時までは校舎内に入れないそうで、私たちも外で待っていました。

9時になるとみんな整然と列を作ってあっという間に校舎の中へ。私たちもスタッフの出迎えを受けて早速職員室(と言ってもラウンジのような感じの部屋)へ案内されました。

職員室では校長先生(40代くらいの若い先生で、Tシャツ+ジーパンというラフな格好)からフィンランドの教育カリキュラムや訪問先の小学校の紹介を英文パワーポイントの資料+英語で説明してもらいました(英語の先生が同行していたので通訳つき)。

その後小学校の教室での授業見学。スマートボードなどを使った小学校4年生の算数の授業や木工の授業(小学校3年生から自国の産業の基盤となる木工とテキスタイルの授業が必修なのだそうです)、小学校2年生の授業を見せてもらってから給食をご馳走になりました。

校舎が建て替えられたばかりとのことでどこもとてもきれい。教室は白が基調ですが、ランチルームはオレンジや青といった鮮やかな色、廊下もきれいな水色になっていて分かりやすいしデザインもおしゃれだな、と思いました。

個人的にはスマートボードはとてもいい視覚支援になると思いました。まだ全校に導入されているわけではないようですが、先生が記入したのと同じようにノートに書くことが見るだけで分かります。先生方もまだ操作などに慣れていないということでしたが、元々IT推進国ということで私から見ると皆さん普通にPCを操作し、色々工夫されている感じがしました。

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教科書もヒントが隠されていて自分で考えて解くことができるようになっていました。これも日本の教科書と違っていて面白かったです。

何よりも羨ましかったのが通常級の中に特別支援の先生が入って担任と2人で授業をしていること。見学したクラスにも何人か支援を受けている子どもがいたそうですが、フォローしながら授業が進んでいました(とは言え何人か授業ではわかりきっていないお子さんもいたようですが…)。

クラスの人数も22〜25人前後と日本に比べたらずっと少ないし、机も大きくて使いやすそうでした。姪っ子の学校公開でも随分私の頃より教室にゆとりがあっていいなぁ、と思いましたがさらにゆったり。スペースの余裕って大事だな、と改めて感じました。

見学後職員室に戻り、最初に見学に入ったクラスの担任と案内をしてくれた副校長(特別支援担当でかつ、大学の先生の奥様)が補足説明や質疑応答をしてくださいました。

午後はユバスキュラ大学へ行って教員養成課程担当の先生からフィンランドの教育カリキュラムや教員養成についての講義を受けました。

フィンランドではインクルージョン教育が進められており、できるだけ特別支援教育を通常クラスの中で行うよう配慮されています。もちろん個別指導が必要なお子さん向けの教室もあり、授業によっては別教室で授業を受けることもあるそうです。

ただし、日本でいう特別支援教育とは違い、ある単元でもつまづきでも状況に応じて対応するということでした。フィンランドには学習塾がないそうなので日本でなら学習塾が行うことも学校で、ということのようです。

特別支援学級で授業を受けるお子さんもできるだけ地域の小学校へ通うような動きになっているそうですが、知的な問題が大きなケースの場合などは特別支援学校へ通うことも。

当然どこの学校へ行くか、個別指導を受けるかなどは親御さんの許可は得るそうですが、何よりも心がけているのはお子さんの事情に合わせて柔軟な対応ということでなんとも羨ましいシステムでした。

教員養成についても特別支援教育の先生になるには一般の教員免許を取得後(フィンランドの場合教員になるには修士号を持っていることが必須です)数年は現場で経験を積んでから大学院でさらにトレーニングを受けるのだそうです。

そして校長先生も現場経験のある人が大学院で1年間リーダーシップ研修などの校長先生向けのトレーニングを受けてなるそうで、中には30代で校長になる人も。採用権も学校にあるため、学校の自由度は日本に比べてかなり高いとのことでした。とにかく教員が決めることが多い分責任も重大ですが、教師の質を保つ養成カリキュラムに加えて親御さんや地域の理解に支えられている印象を持ちました。

医療関係なども少し聞いてみると健診システムも日本とは随分違い、個別対応が基本だそうです。早期発見・早期療育の考えもかなり根付いていますし、連携に関しては学校にいるソーシャルワーカーやスクールカウンセラーといった専門職の役割も大きいようでした。

医療現場で働いていた言語聴覚士が私だけだったので、個別に聞ける時に少しSTについて聞いてみると、フィンランドではSTの養成校がヘルシンキとオウルの2箇所だけで、人数も約1000人ほどしかいないとのことでした。これだけ聞くと少ないですが、フィンランドの人口は500万人ほどなので、人口比で考えると日本の方がまだまだ割合としては少ないのが現状です。現地の先生方も「まだ人数が足りない」という認識でしたから今後人材養成などが問題なのは日本と同じようでした。

特別支援教育に携わるSTについて聞いてみたら病院や児童センター(日本だと児童相談所が近い)にはいるが、どちらかというと就学前のケースや重度のお子さんを見る、というイメージだそうです。というのもLanguage Teacherという専門職が学校にいるため、軽度の場合はその方が対応するのだとか。

ここまで聞くと羨ましいとつい思ってしまいますが、ユバスキュラ大の先生も「これをそのまま日本で導入するのは難しい。何しろ人口が日本は多いから、これだけのことをやるのは大変ではないか」という話に。

逆に考えれば日本の場合、これだけの人口の子どもたちに一定のレベルを保てるだけの教育ができるというのはすごいことなのかな、とも。ただかつての自分のような規格外の子どもたちにもう少しやさしい教育体制が作れないものか、とフィンランドで改めて感じながら現地の先生や同行した先生方と話をしていました。

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フィンランド特別支援教育視察(その1)

フィンランド特別支援教育視察(その1)
以前NHK教育「ハートをつなごう」で共演した月森久江先生からお誘いを受けて8月19日から28日まで北欧へ出かけておりました。全国から30人ほど集まり(主に学校の通級指導教室や特別支援に携わっている先生たちです)、大所帯で行ってきました。

目的はフィンランドの特別支援教育視察。PISAの学力調査でもトップの成績のフィンランド教育。児童の1/3程が何らかの形で受けているという特別支援教育が大きな鍵を握っているということなので、事前に本を読んだり、NHKBSプレミアムの北欧特集を見てフィンランドの風土や教育方針などをにわか勉強して行きました。

日本でフィンランドというとアニメにもなったムーミン、マリメッコといったテキスタイル、ノキアなどのIT企業、アアルトといったデザイン家具が知られていますが、実はサウナもフィンランド語。

森と湖の国でもあり、自然豊かな国でどんなふうに子どもたちが教育を受けているかをみられるのはなかなかない機会なので、寒さや時差といった心配はありましたが、主治医の許可を得て思い切って行ってみました。

コペンハーゲン経由で乗り換え待ちをしましたが、前日まで猛暑だった日本とは打って変わっての涼しさ。日中でも18度位しか気温が上がらないし、夜9時近くまで太陽が沈まないという状況に戸惑いながら日付が変わる頃ホテルに到着しました。

翌日はヘルシンキを観光。午前中はバスで主な名所を回りました。この日はちょうどヘルシンキマラソンの日で、ちょうどその準備もあってかバスが集合場所にいなくて男性メンバーが手分けして探すといったハプニングはあったものの、ガイドさんの説明を聞きながらあちこちぶらぶら。マーケットには日本ではあまり見かけないベリー類がたくさん売られ、買った先生方から「味見していいよ」と言われて何種類もいただきました。

昼食後午後は同室になった人と街を散策。ムーミンショップで姪っ子から頼まれたフローレン(姪っ子は「女の子ムーミン」と言っていましたが)のぬいぐるみを無事購入しました。絵葉書も色々あったのでこちらもお土産に。日本にもムーミンショップはありますが、日本にもムーミンショップはありますが、フィンランドのものはぬいぐるみや絵が原作のものに近い感じです。

その後は以前見た映画「かもめ食堂」のモデルになったお店へ行き(残念ながら定休日でしたが)、ヘルシンキマラソンの折り返し地点で走っている選手を応援したり、デザインショップを見て、アアルト設計のアカデミア書店を物色してお茶して…と随分街を歩き回りました。

途中偽警官らしい人にも遭遇して少しビックリしたものの、幸い何事も無く切り抜けられましたが、その後問題発生。なんと夕飯に訪れたレストランに携帯電話を忘れてしまい、後日日本に送ってもらうことになりました。やはり久々の海外で注意が低下していたようです。フィンランドでは使えない機種であちらでは目覚ましや防水カメラ替わりに使おうと持ってきていたものだったため、翌日日本にいた夫に連絡して回線を止めてもらう手続きをしてもらいました。

(その携帯電話も2日後無事見つかったと連絡があり、海外ではかなり運がいいと添乗員さんにも言われましたが、本当にその通りですね。色々な方にご迷惑をおかけしましたが、お陰さまで帰国後手元に戻りました。ありがとうございました。)

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コーチング研修

今日は都内で看護師や介護福祉士の方にコーチング研修の講師をしてきました。

老健の現場の方が中心で、半分近くの方がコーチング初体験ということでしたので、概論については一通り触れた後はとにかく経験してもらうことにしました。

そこで事例検討やコーチングセッションの時間を取り、グループ討議やロールプレイなど実践的な内容にしました。

支援者が多くなるとどうしても一方的な見方になりがちになるので、今回は相手側や第三者側の立場からの意見を言ってもらうようにしました。同じ現象でも立場が異なれば見方が異なり、話し方一つで雰囲気などが変わるを実感してもらいました。

成人の病院は最初の2年ほどお世話になっていましたが、今は診療報酬などの改定でそのころより言語聴覚士の報酬は上がったものの、リハビリ日数の事実上の制限など当時より厳しくなっていることも色々あります。

政権交代して医療や福祉の現場がよりよい環境になることを願っていますし、コーチングを学んでもらうことで少しでもその手助けができたら、と思っています。

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声を使う仕事の人のためのボイスマネージメント講座9-1

シルバPic_0045ーウィーク初日ですが、有楽町の東京国際フォーラムでの「声のセミナー」でした。

この講座もすでに9回目。今回は声や体の指導する立場の方の参加が多かったです。さすがに事前の勉強もとても熱心でした。質問もピンポイントで来るため、こちらも心地よい緊張感を持ちつつ楽しみながら進められます。

今回も参加者やスタッフの方々に支えられ、とても和気あいあいとした講座になりました。私がセミナーで大切にしているのは会場の一体感と、楽しみながらも学びを深めてもらう雰囲気作りです。主役はあくまでも参加者ですから、講師は参加者から「そうだったのか!」という気付きを引き出すための脇役だと思っています。

小心者ゆえ毎回資料作りと進行を考えるのは前日まで悩みつつ行いますが、それが形になって参加者の方々に還元されるとものすごく嬉しく、「準備のしがいがあった!」と感じています。元々はあまり人と接するのが得意ではないはずの私がこの仕事を続けているのも自分が努力したことが他の人の役に立っていることにつながっているからなのでしょう。

スタッフ陣も慣れてきたので皆さん動きがスムーズ…と思ったら、講師の私がいくつかケアレスミスによる忘れものなどでハプニング発生。幸い夫が家から必要なものを持ってきたりと手伝ってくれたので事なきを得ました。

終了後はスタッフと食事を兼ねた反省会。よくなった面、今後の課題を肴にあれこれ話をしつつあれこれ話しました。

実はこの講座を皮切りに11月初めまで研修やセミナーの仕事が週末に立て続けに入っているため、体調管理も大事なポイントになりそうです。マイペースに頑張れたら、と思っています。

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ANKHER公開セミナー

「声のセミナー」でお世話になっているコーチングバンクさんの新事業、ANKHERプログラムの公開体験セミナーのお手伝いに行ってきました。

講師の猪狩ゆみこさんは企業向けのブランド開発を手掛けてきた方です。「ブランド マイニング™」としてプログラム化し、プロジェクトマネジメント、ブランドマネジメントの支援に特化した業務を行ってきました。

その業績を生かして個人向けにしたのがこの「ANKHERプログラム」です。自分の強みを見つけ、就職や転職などを考えている方にはとてもいいと思います。

このようなプログラムの場合ついネガティブになりがちですが、このプログラムは未来に対して前向きになるよう随所に工夫がされています。やっていてかなり楽しいです。

このプログラムについては色々お手伝いする機会がありそうなので、私も楽しみながら学ばせてもらおうと思っています。

参加者、講師、スタッフの皆様、お疲れ様でした!

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わらべうた株式会社さん 研修

ベビーシッターの派遣をされているわらべうた株式会社さんの研修講師をしてきました。

声のセミナーのエッセンス編、ということで本を教材にお話しました。

お子さんと日々接していらっしゃるだけに、皆さん具体的な質問が多く、意識が高かったです。そして何よりとても元気で積極的!

エクササイズの時間は大いに盛り上がりました。

楽しい時間で、私の方が元気とパワーをいただいた感じです。どうもありがとうございました!

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新しい出会い

汐留まで顔合わせを兼ねた打ち合わせに行ってきました。詳しいことはまだ今は言えませんが、新しい展開になりそうなワクワクする出会いでした。

仲介してくれた方が色々配慮してくださったおかげで、こちらのバックグラウンドなどを理解してもらえ、とてもよかったです。ありがとうございました。

最近気づくのは自分のことを理解してくれる、あるいは理解しようとしてくれる人がだんだん増えていることです。応援してくれる人、一緒に何かを始めようという人…人の輪が広がっていくことで幸せも大きくなっていくんだな、と改めて感じました。

今はまだ種をまこうと始めた所なので今後どうなるかは分かりませんが、第一歩は踏み出せた感じです。

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平凡社新書リニューアル

「声と話し方のトレーニング」でお世話になっている平凡社新書さんが、今月創刊10周年ということでカバーがリニューアルされました。

今までは「知の十字路」ということで帯を外すと地と図が逆転し、白い十字が見える面白いデザインでした。書店で平積みになっていると赤と白のコントラストが結構目立っていました。

今度のカバーは「知の広場」というコンセプト。薄いブルー地に白い楕円のデザインです。今度のデザインでは書名が縦組みにも横組みにも対応できるそうです。どちらも菊地信義さんによるもので、リニューアル本の表紙をネットで見て感動しました。

今月は10周年記念に10冊の新刊が出たそうで、広告を見ると錚々たるメンバーです。昨日の朝日新聞では著者の写真入り広告も出ていました。

既刊の本も徐々にカバーをリニューアルしていくそうです。拙著の新カバーの本と対面するのはいつ頃になるのか?今から楽しみにしています。

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テスコ・プレミアムサーチ株式会社さん訪問

千代田区にあるテスコ・プレミアムサーチさんへ行ってきました。こちらは障害者の求人や転職を支援しています。

こちらの会長である加藤さんとは上智大関係の集まりで知り合い、そのご縁で社長の石井さんをご紹介いただきました。加藤さんも石井さんもソフィアン(上智大同窓生のこと)です。

最近は発達障害関係のご相談もある、とのこと。就労に関してはまだまだ勉強したいことがたくさんあるので、とても参考になりました。リハビリ業界でも職場復帰に向けての支援が大きな課題になっていて、現場とのギャップをどう埋めて行くかは大きな問題になっています。

以前出演させていただいた「ハートをつなごう」でも働くことの意味や大切さについて話題になりました。お金を稼ぐために働くことはとても大切です。でも私が仕事をしているのにはそれ以上の意味があると思っています。

それは自立したい、自己実現をしたい、色々な人とつながっていたい、といった色々な願いの象徴なのかもしれません。そしてそれらを通して社会の中で小さいながらも何か役に立っている、という実感がほしいのかもしれません。

実は以前病気で療養していた時とても心細かったし、働いていない状況がとても辛かったのです。やっぱり仕事が好きなんだなー、と改めて思いました。

主治医からは「仕事好きなのはいいけど、あんまり無理しないように」と釘を刺されています。今話題のワークライフ・バランスは私にとっても大きな課題のようです。

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本格始動

連休も明け、だんだん世の中も通常モードに戻りつつありますね。

すでにbizknowledgeさんのブログにはご紹介いただいていたのですが、私の声と話し方のトレーニングサイト「ボイスマネージ」がいよいよ始動です。

まだまだ課題はたくさんありますが、まずはこういうことをやっています、ということを知らせて行くことからなので、応援よろしくお願いいたします!

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